自然環境について

自然界にない物質を作り出した人間 

戦後、日本人は、廃墟から立ち上がり、驚異の高 度成長を成し遂げるまでただひたすら物を作り、 未開地を切り開き、川をせき止めて耕地を広げ、 食料などを増産することが命題であった。それが国を豊かにすることであり、人類の発展であると信じてきた。

しかし、その反面で起きていること、すなわち、あまりにも急激な社会の進展、開発がなにがしかの副作用をもたらしたに違いない、と気 づいていた人はどれほどいただろうか。

「自然環境の破壊」による人類の存続が可能かと憂慮した人も。 

人類発展を願ったとはいえ、その英知の産物と 生み出した「自然界にない物質」、電化製品、 自動車、化学製品、保存食品など、またその生産過程において多くの化学物質を媒介、使用してき たことの結果が、 自然環境を破壊し、汚染した事実である。そこには人間が自然を征服するという傲慢さがあったにちがいない。

特に人間が作り出した化学物質による生態系への悪影響については、人間の生活、さらに生命すら脅かしかねない現状が深刻化しているからである。 

自然環境の改善、保全という大きな命題の中で 人間一人ひとりの、身近でできることからはじめるというスタンスが問われ、求められている時期には後がないのである。 「布良」の普及目標の方法は、人間一人ひとりが、身近で出来ることを一緒に始めようという姿勢を持ち、仲間の輪を広げ、互いに安全で、安心ある生活環境を実現しようとする本旨である。

 具体的には日用品の一部を布良に代替しよう。 

今までの習慣を改善しよう。それが大切なこと、という普及である。 

エコロジー的生活を目指して 「人間が自然の中に入り込み、一体化しなくてはならない」ということは、自然の生態系を壊さない、自然の育んだものを摂取するということで ある。

例えば、汚水の問題は生活排水が大部分を占めるといわれる。家庭からの排水には化学性洗剤などの無機有害物質が多量に含まれ河川や海を汚染 し、そこに生きる生物の生態系を著しく阻害してき た。

入浴、食器洗いなどに合成洗剤などを習慣的に 使用し、衣類も化学繊維でできたものが多い。

見た 目の美しさ、清潔さ、便宜性などを尊重する現代生活の営みが含む功罪は、半面で生活汚水のたれ流 し、健康阻害減少などのやっかいな問題を生み出し てきたのである。 

「布良」は紹介するまでもなく有機栽培による綿を、その自然の素材を損なわずに手紡ぎ、手織 り、草木染めなどの手工程を経て作り上げられ布地である。

洗剤、石けんなどの助けを借りずに汚れを落とし、 化学物質合成洗剤など) を生活の中から排除していこうという目的をもつ。この自然素材を衣類として直に身にまとうことにより、人体の皮膚層を保護し、そ の保温効果により内部環境すなわち体内臓器機 能の働きも活性化させるものである。

 「布良」はそ の価値観の化学的分析データを待つまでもなく、実用化することで多くの貴重な体験を得てきたので ある。

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